体にやさしい授乳姿勢、知ってますか?

こんにちは!現在育休中、助産師のマイです!!
一気に秋めいて、暖かい飲み物を手にすることが多くなってきました。みなさんいかがお過ごしでしょうか。体調崩していないですか?
さて、今日は先日の『産後のお部屋づくり』のブログの中でお話ししていた、授乳姿勢についてお伝えしたいと思います。

さっそくですが、授乳に関すること、いつ学びますか?
「授乳のことは、とりあえず出産を終えてから〜」
「入院中に助産師が教えてくれるから、それからで〜」
「とりあえず哺乳瓶と授乳クッションくらい買っておこうかな〜」
「産前はおっぱいマッサージはしておこう〜」
ほとんどの方がそんな感じなのではないでしょうか。
実際、初めての出産で、初めて授乳をするママの場合、赤ちゃんにおっぱいを含ませること自体が慣れなくて難しく、短い入院期間で習得しなければという焦りもあいまって、飲ませることに必死で、自分の姿勢のことにまで注目しにくい、という事実があります。
そして、姿勢の観点を無視した授乳を続けていると、徐々に体の不調が出はじめます…
授乳姿勢に関連したトラブル

多くきかれるものは、肩こり、首こり、頭痛、腱鞘炎、腰痛、背中の痛み、尾骨痛など。
授乳の姿勢は、胸の前に赤ちゃんを抱くので、
必然的に腕は体の前側にきて、どうしても肩が丸まり、背骨も丸まりやすいです。
そしておっぱいを飲んでいる赤ちゃんを見るので、首が前に出やすい姿勢になります。
授乳中ずっとこの姿勢をキープするわけなので、肩こり・首こりは必至。
さらに、肩・背中を丸め、骨盤を寝かせた姿勢(骨盤後傾位)は、腰部の筋肉に伸張(伸ばされる)ストレスがかかりやすく、筋筋膜性の腰痛を生じることがあります。
また、背中を丸める姿勢は、どうしても骨盤を寝かせる姿勢(骨盤後傾位)になりやすいので、尾骨(お尻のしっぽの骨)が床や座面に当たりやすく、尾骨痛が生じることもあります。
そして、実は入院中に教わった、授乳時の支え方のままで、ずっと赤ちゃんを支えていると、腱鞘炎になりやすいです。
体を守るために、産前に知っておく
これらのトラブルを回避するためには、産む前に、授乳姿勢を知っておくことです。
それを知らないで、授乳をはじめると、吸わせることに精一杯で、ママの姿勢がひどく崩れていることにすら気づけません。
頑張り屋な人ほど、自分のことよりも赤ちゃんに飲ませることばかりに視点が向き、自分のことは後回しで、結果、ママが体を痛めているケースは少なくないです。
1日に多いと8〜10回ほど行う授乳。母乳じゃなく、ミルクを飲ませる場合も同じです。
ママ自身の体のことも考えた、体にやさしい授乳姿勢の基本を知っていることで、
その視点をもって授乳ができるようになるので、体のトラブルが起きにくくなります!
体にやさしい基本の授乳姿勢

体にやさしい基本の授乳姿勢は、これです。
必要なものは、
①授乳クッション、②高さ調整のためのクッションやバスタオル数個、③お尻の下に敷くタオルもしくはクッション
床に座って行う場合は、あぐらで、授乳クッションを使います。高さ調整のために授乳クッションの下にさらにクッションやバスタオルを入れ込むといいです。そして、自分の膝下にもクッションを入れると体を緊張させずリラックスして授乳ができます。楽です!!
ソファーや椅子に座って行う場合も、授乳クッションを使います。高さ調整のためにクッションやバスタオルを入れ込みます。また、足の下に足台があると楽です。よく足台を使わず、爪先立ちしてる人が多いですが、足が疲れますし、体も緊張しますね。

そして、骨盤が寝てしまわないように立てた状態(おやま座りや体操座りをした時に、床につく左右のお尻の骨が、しっかり座面に付くように座る)にします。この姿勢を自分で意識し続けるのは大変なので、道具(③のタオルやクッション)を使います。
お尻の後ろにドアストッパーのようにタオルやクッションをかんで座ることで、楽に骨盤を立てて座ることができます。そうすると、自然に背骨は立ち、肩も丸まりにくくなります。
肩に力を入れなくてもいいように、授乳クッションを使って赤ちゃんを抱き、高さが足りなければバスタオルやクッションで調整します。肩や腕が上がらず、変に力が入らず、ご自身が楽だなと感じられたらOKです。

手は、このような形はできるだけ控えます。産院で授乳を教わる際に、頭を支える手はこの左側の手の形になりがちです。慣れてきたら手首の向きを自然な形に直してみましょう。
指や手、手首だけを使って支えるのではなく、腕全体を使って赤ちゃんを支えるイメージです。
事前に知っておくことで手や手首を守ることができます。使い過ぎに注意です!
右側の写真のような、おっぱいをしぼる動きも、実は、手には負担だったりします。
まとめ
知らなくて、産後に体を痛める、ということはよくあります。
本当は、産後入院中に、ここまでの内容をお伝えしたい思いがあります。
でも現実は、最低限の育児技術を伝えるだけで時間いっぱい、ママ自身も手一杯な状況で、伝えられていないのが現状です。
一度痛めると、回復するまでの間、育児が辛いですね。誰か手伝ってくれる人がいたらいいけれど、そうもいかない場合もあります。
ちょっとした工夫でトラブルを回避できるなら、その方がいいですよね。